その1
最後の博徒−波谷守之の半生
続最後の博徒−波谷守之外伝
正延哲史 三一書房/幻冬舎アウトロー文庫
しょっぱなからとんでもないノンフィクションです。
やくざを美化するつもりはありませんがこういうふうに生きてみたい、そう思うような生き様で
す。親分も実の父親も殺され仇討ちできるだけの力をつけたもののそうすればさらに無駄な死
を招く事になる。仇討ちをあきらめ抗争の沈静化に尽力する。いちばん難しいことをやっての
けるがその手柄は人に譲る。自分が人にした親切は忘れるが人から受けた恩義は絶対に忘
れない。
こんな人に一度会ってみたかったと思うこと間違いありません。
車掌(裏)乗務手帳
車掌(真)乗務手帳
坂本衛 山海堂
旧国鉄の車掌だった筆者が乗務中に体験した出来事を紹介しています。車掌が列車に乗り遅
れタクシーで追いかけたなどかなりきわどい話もありますがまあ昔ののんびりした時代の話と
して笑えるのではないでしょうか。(SLの時代は自動ドアじゃなかったからこういうこともあった
らしい)
いちばん面白いのは夜行列車で電熱器を使って料理した話ですね。最近はパソコン用に車内
にコンセントがあったりしますが当時はありません。どこから電源をとったのか?
タケノコの丸かじり
東海林さだお 文春文庫
週刊朝日「あれも食いたいこれも食いたい」の連載の単行本で既にシリーズで15巻が出てい
ます。(「○○の丸かじり」というタイトル)
食べ物に関するあらゆる疑問、あるいは見方を変えた切り口は「そうだそうだ」と思う事間違い
なし。ご飯の上にピザを載せピザ丼を作ったりポパイのほうれんそう缶詰を買い求めようなん
て誰が考えます?ちなみに私はお好み焼き丼なんて作って食べますけど。
笑っている場合
原田宗典 集英社文庫
原田さんのエッセイは何を書いても笑いになってしまいます。それも殆どが自分のネタなので
街中で出会った読者に「あの話は本当ですか」と大きな声で聞かれ「ほ、ほんとですぅ」と顔を
赤らめ小さな声で答えるのもしょっちゅうとか。本当に書きたい小説に集中したいということで
最近はエッセイを書く事は少ないようですが私は小説よりエッセイの方が好きなんですが。
牙−江夏豊とその時代
後藤正治 講談社
私の年齢からすると江夏といえば広島、日本ハムのリリーフエースとして活躍し最後にメジャー
のにブリュワーズのキャンプに参加しメジャーに挑戦したものの夢破れ引退という記憶なので
すがこれは江夏の阪神時代の物語です。
小学生の頃プロ野球はチームのファンではなく「江夏のファンだ」という先生がいたことを思い
出します。
電気じかけの予言者たち
続・電気じかけの予言者たち
木根尚登 メディアファクトリー
TMネットワーク結成からデビューまでについての話。デビュー前木根尚登が小室哲哉の家に
打ち合せに行く時「水道110番」なんて書いてある実家の車で乗り付けそれを小室哲哉が嫌
がったという話は笑えます。
「続」の方は再結成にいたる時のメンバー3人の動きです。世界をまたに掛けた3人の動きに
は目を丸くします。
私の電車主義宣言
永井英慈 プレジデント社
民主党の衆議院議員である永井氏の著作です。国会にも電車で通勤し電車利用による街の
活性化、環境問題の解決を図ろうと言う氏の主張は大いに共感できるところです。ただ車が無
いとどうしようもない、という土地が日本の大部分を占めているのも現状でありそのあたりの考
察がほしかったところです。
全国50場競輪巡礼記
横田昌幸 徳間書店
全国50個所の競輪場旅打ち記。滝沢正光全盛でまだまだ競輪が元気だった時代の記録とし
ても貴重です。オッズを最後まで放映してほしい等いろいろな要望を出していながらいまだに
実現していなくては現状も当然というべきか。場内のスケッチや無料バス情報なども記載され
ており旅打ちのバイブルとしても秀作で私が旅打ちを志した記念すべき本でもあります。
絶版と思われますので読みたい方は図書館でお探しください。自転車文化センター情報室にて閲覧できるそうです。
東京都千代田区北の丸公園2-1 科学技術館2階C室 03-3217-1231
審判失格
平光清 ニッポン放送出版
タイガースファンとしてあの試合は忘れることが出来ません。平成4年9月11日、甲子園球場
での阪神−ヤクルト戦。3対3の同点で迎えた9回裏2死1塁、八木裕の打球は左中間の一番
深いところへ。スタンドインはもちろんフェンスに当たって跳ね返ってもサヨナラ勝ちは確実。な
のに打球はフェンスのラバーにあたりスタンドイン。これはホームランなのかエンタイトル2ベー
スなのか。未だにプロとアマチュアで判断の異なるこの難しい状況をジャッジしなければならな
かった平光審判の回顧録です。現在でも日本野球連盟参与として球界に携わっているだけに
野球に対する愛情と自己の反省が入り混じっています。
絶版と思われますので図書館、古本屋でお探しください。
洞爺丸はなぜ沈んだか
上前淳一郎 文芸春秋社
日本最大の海難事故、青函連絡船洞爺丸の遭難にいたるドキュメント。著者は元新聞記者だ
けに細かな取材でその場にいるかのような臨場感で描かれています。
青函トンネルの建設、気象庁の設置など後の日本に大きな影響を与えた事件だけにこういった
記録は残していかなければなりません。
遠い昨日
伊集院静 講談社文庫
作家として直木賞、作詞家としてレコード大賞(作詞家としての名前は伊達歩)を受賞し、前夫
人が夏目雅子、現夫人が篠ひろ子と男としてこれほどうらやましい人はいないと私は思ってい
ますがなぜか伊集院氏の著作にはものかなしさが漂います。この短編集もそんな作品集で
す。
散歩のススメ
泉麻人 新潮文庫
徒歩やバスで街中を散歩する「街歩き」好きの著者がその楽しさを伝えてくれます。日頃何気
なく歩いている道路にもいろいろな謎や疑問点があり見知らぬ食堂に入り「当たり」の場合や
「ハズレ」の場合もある。それを楽しめる泉さんの本です。
帰郷
海老沢泰久 文芸春秋社
「F1チームの一員」といういわばお祭りに参加した普通の自動車会社の工場労働者が派遣
期間が終了し通常の工場勤務に戻る。私自身選挙などに加わったことがあり「終わった後の
静けさ」を感じたことがあるだけに主人公が他人事とは思えません。
フグと低気圧
椎名誠 講談社文庫
世界を旅してまわる筆者の日記拡大的文章です。キャンプでは蚊の大群に襲われたり仲間
達で運動会をしたりと考えもつかない行動力には驚かされます。
哀しき紙芝居
笑福亭鶴瓶 シンコーミュージック
落語家笑福亭鶴瓶師匠が弟子入りし10年になろうという時期に学生時代や弟子時代のエピ
ソードなどを綴った本です。いつも同じ様なネタ話しているやないか、と思うでしょうが話の内容
がわかっていても、何回聞いても笑ってしまうのは人柄と話術でしょう。
絶版と思われますので古本屋でお探しください。
陽のあたるオヤジ
大沢在昌 集英社
誰しも年はとりたくないもの。しかしそんなわがままが許されるわけはなく同じなるなら「陽の
あたるオヤジ」になろう。そんな著者の20代の若者に対するメッセージがこめられた本です。3
0代に入ってしまった私も近づけるでしょうか。
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