2005年中期



愛についてのキンゼイ・レポート(2004 米・独/松竹)
監督:ビル・コンドン

 学者というものはその研究課題にのめりこんだら他のことをまったく考えず突き進んでいくも
のですがキンゼイ教授はその代表のような存在です。そしてそれゆえに世論に受け入れられ
なくなるのですがそれでも研究を続ける。
 愛を無視した性の研究のためおかしくなっていくのですがどうして邦題には「愛についての」と
付け加えるのでしょうか。
(梅田ブルク7)


ヒトラー 〜最後の12日間〜(2004 独・伊/ギャガコミュニケーションズ)
監督:オリヴァー・ヒルシュピーゲル

 タイトルは「最後の12日」となっていますがヒトラー自殺後の描き方が印象に残ります。独裁
者の死後すぐに降伏したのかと思いきや後を託されたゲッペルスとその夫人の狂気が更なる
悲劇を生む。
 非常に重苦しく観た後も考え込んでしまう作品ですがぜひとも観るべきでしょう。
(梅田ガーデンシネマ)


皇帝ペンギン(2005 仏/ギャガコミュニケーションズ)
監督:リュック・ジャケ

 体長120センチと世界最大のペンギンであるコウテイペンギン。数百羽が直立歩行している
と人間の行進のようにさえ見え非常にユーモラスですが実際にはえさ場である海と産卵地であ
る氷上を数十日かけて移動する命を賭けた行進だったりします。そんなコウテイペンギンの生
態を長期間にわたって記録した映画で「本物のペンギン」を見る機会が少なかっただけに非常
に新鮮でした。
 ペンギンが集まってブリザードに耐えますが順々に動いて内側のペンギンは外に、外側のペ
ンギンは中に入っていく様子に妙に感動します。
(梅田ガーデンシネマ)


ミリオンダラー・ベイビー(2004 米/松竹)
監督:クリント・イーストウッド

 まず迫力あるボクシングシーンが目をひきます。対戦相手は本物のボクサーですがそれにひ
けを取らないヒラリー・スワンクを観るだけでも入場料の元は取れます。
 対戦相手を次々と撃破しサクセスストーリーかと思いきや後半は信じられない展開となりさら
に予想しえない結末を迎えます。イーストウッド演じるトレーナー、フランキーの行動は本当に
正しいのか。観終わった後も我々に問いかけてきます。
(梅田ピカデリー)


いらっしゃいませ、患者さま(2005 日/松竹)
監督:原隆仁

 予告編を見たときはなんともばかばかしい映画だなと思ったのですが実際に見ると製作側の
意図がじんと伝わってくる作品です。「こんなことありえない」内容ですがほんの1%でも実際の
病院が受け入れてくれたら医療のイメージも変わるのに、というメッセージを我々に与えてくれ
ます。もともと「外れだろう」と思って観ただけに大きな誤算でした。
(テアトル梅田)


炎のメモリアル(2004 米/東宝東和)
監督:ジェイ・ラッセル

 私にはなれないなと思う職業の一つが消防士ですがこの映画を見て特にそう感じてしまいま
す。火災現場に閉じ込められた中で消防士になってからの自分のことを思い返す。そして家族
や同僚、上司に恵まれたことに感謝する。
 制服(というかエンブレムのついたシャツやジャンパー)で買い物をしたり酒を飲んだりするの
が消防車でコンビニに行ったと非難される日本とは違うなあと思ってしまいました。
 ただどうもこの邦題はいただけません。(原題はRADDER49)
(OS阪急会館)


交渉人 真下正義(2005 日/東宝)
監督:本広克行

 「交渉人」というからには犯人との息詰まるネゴシエーションを期待していたのですがそちらの
方はあまり出てきません。それよりもプロファイリングの方がメインのような感じです。また非常
にテレビ的な内容でわざわざ劇場公開するほどのものかなとも思ってしまいました。またクリス
マスの内容をこの時期に、というのも意図がわかりません。
 地下鉄内のパニックシーンは例の事故を思いださせよくこの時期に公開できたなとも思いま
すが撮影協力もJR西日本が加わっていたりします。
(千日前OSスバル座)


コーラス(2004 仏/日本ヘラルド)
監督:クリストフ・バルティエ

 日本でいうスクールウォーズや金八先生のような「熱血先生」ものなのですが先生を完璧な
存在にしないところがフランス的なのでしょうか、それがかえってリアリティーをかもし出してい
ます。大きく目立つところはありませんが観終わった後ににじわじわと効いてくる作品です。
(梅田ガーデンシネマ)


フェーンチャン ぼくの恋人(2003 タイ/ワイズポリシー)
監督:コムグリット・ドゥリーウィモン他

 まあ「よくある話」でそうストーリーに見るところはなくなぜ自営業の散髪屋が急に引っ越す
(夜逃げではない)のかなど理解に苦しむところもあるのですが80年代のタイは私が過ごした
70年代の日本と同じだなというところが非常に懐かしさを感じました。明らかに「パチもん」のド
ラえもんTシャツやゲームウォッチが笑えます。
(ナビオTOHOプレックス)


Shall we Dance?(2004 米/ギャガコミュニケーションズ)
監督:ピーター・チェルソム

 言うまでもなく1996年に周防正行監督で作られた作品のハリウッドリメイク版ですが最初こ
の話を聞いたとき日本だからありえそうな話であってアメリカではどうなのか、だいたい通勤電
車から見えるところにダンス教室があるという設定自体アメリカでは無理じゃないかと思ったの
ですが高架電車のあるシカゴを舞台にストーリーは展開します。
 ただ日本版をきっちりトレースしたアメリカらしくない映画でリチャード・ギアが日本人になった
ような感じになっておりかって大阪で放送されていた、ハリソン・フォードが日本でサラリーマン
をする携帯電話のCMを思い出しました。
(ワーナーマイカル加古川)



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