2006年前期



単騎、千里を走る。(2005 日/東宝)
監督:チャン・イーモウ

 広い中国の大地を高倉健が東奔西走する。言葉の行き違いや文化の違いを心の交流で乗
り越えるところが見ものです。しかしデジカメやケータイを駆使するのはいくら時代とはいえ少し
ふさわしくないような気もします。
 高倉健は今年75歳、さすがに口元は「おじいちゃん」を感じます。出演した映画はこの作品
で206本だそうですが私が観たのは1割くらいでしょうか。
(OSスバル座)


博士の愛した数式(2005 日/アスミック・エース)
監督:小泉尭史

 もし中学生あたりでこの映画を見たら私も数学者を志したかもしれません。そんな数学の面
白さを教えてくれる寺尾聡演じる「教授」は交通事故の後遺症で80分しか記憶が持たない、し
かもその交通事故にはどろどろした背景も潜んでいる。しかし映画はさわやかに進んでいきま
す。家政婦を演じる深津絵里のおかげでしょう。
 阪神ファンは必見です。
(神戸国際松竹)


THE 有頂天ホテル(2005 日/東宝)
監督:三谷幸喜

 細かく言えば高級ホテルの裏側はともかく表までこんなにバタバタしていたら客は安心できな
いぞと言いたいところですがそれはまあお話なので。伏線をはりめぐらした脚本はさすがは三
谷幸喜と思わせますがそのぶんストーリーそのものが貧弱というか山場が存在せず淡々と流
れていきます。そういう話といわれればそれまでですが。
(ナビオ東宝プレックス)


寝ずの番(2006 日/角川ヘラルド)
監督:マキノ雅彦

 笑福亭松鶴がモデルと思われる上方落語界の巨匠が亡くなりその夫人や弟子たちが通夜
の席で思い出を語るのですが噺家のことですから下ネタのオンパレードです。絶対テレビで放
送されることはないでしょう。そして3番目の弟子の妻を演じる木村佳乃のはじけっぷりが見も
のです。
 ただ語られるエピソードの殆どは鶴瓶をはじめ松鶴一門の弟子がよく話している「おなじみの
話」で新鮮味がまったくなく関西人には思いっきり不満が残ります。
(梅田ガーデンシネマ)


かもめ食堂(2005 日/メディア・スーツ)
監督:荻上直子

 なぜかフィンランドで食堂を営む主人公。まったく客の来ない毎日を気にするそぶりも見せな
いので観ている方が心配してしまう。
 主人公の生き方同様、のんびりした映画です。疲れたときに観ると効果的だと思います。
(梅田ガーデンシネマ)


LIMIT OF LOVE 海猿(2006 日/東宝)
監督:羽住英一郎

 海上保安庁全面協力で本物の巡視艇やヘリコプターが出てくるだけに非常に臨場感あふれ
る仕上がりですがそれだけに船体が傾いているはずなのに船内はリンクしていないという状況
が気になってしまいます。
 もっと男らしい漫画が原作だったはずですが万人向け(特に女性)にするにはこういうストーリ
ーにせざるを得ないのでしょう。でも加藤あい演じる環菜はかわいいです。
(OSスバル座)


初恋(2006 日/ギャガ・コミュニケーションズ)
監督:塙幸成

 3億円事件の真相としてドキュメントや小説などでいろいろ語られますがそんな原作の一つを
基に作られた映画です。女性が車やバイクを運転するのが珍しい時代だから怪しまれない、と
いうのですがさすがに無理があるような気がします。
 もっとも最初暗い表情だった主人公みすずが話が進んでいくにつれ明るく変わっていく、それ
を演じる宮アあおいが光っています。
(動物園前シネフェスタ4)


間宮兄弟(2006 日/アスミック・エース)
監督:森田芳光

 実際にいれば「キモ可愛い」と評されるであろう兄弟の奮闘が楽しい作品です。また散りばめ
られたネタや伏線には笑えるものが多くその方向でも楽しめます。例として「断る」と一言でデ
ートを断られた弟が次のシーンでゴルゴ13を読んでいる、とか。
 でも少々くどいような感もしました。もっとコンパクトなら。
(梅田ガーデンシネマ)




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