2007年



ダーウィンの悪夢(2004 英・仏・ベルギー/ビターズ・エンド)
監督:フーベルト・ザウバー

 私は小さな頃学校の給食の魚のフライが好きだった。味も何もしないが白身でやわらかいの
が子供の舌に合っていたようで家で魚を食べない私に母はその魚を探し回った(今のように冷
凍食品が豊富な時代ではなかった)と今でも聞かされることがある。
 誰かによってアフリカのヴィクトリア湖に放流されたナイルパーチは生態系を一気に崩し地元
ではその輸出による産業が盛んになるが儲かるのは一部の人のみ。どこからかやってくる古
い飛行機(DC8やトライスターにはびっくりした)が無線もない飛行場に降り立ち魚を積んでいく
が何を持ってきているのか。
 思いっきり考えさせられるドキュメンタリーでした。
(梅田ガーデンシネマ)


硫黄島からの手紙(2006 米/ワーナー)
監督:クリント・イーストウッド

 戦争するのは双方とも人間でありやることに大差はない。優しさも残虐さも。アメリカ側で作ら
れた作品でありながら非常にニュートラルな視点で描かれており片方が英雄にはならないよう
に作られてはいます。
 このような作品を日本人が作るのではなくアメリカ人が作る。恥じなければならないところでし
ょう。
(OSシネマズミント神戸)


僕は妹に恋をする(2006 日/東芝エンタテインメント)
監督:安藤尋

 設定が禁断の愛である以上結末は「いかにケリをつけるか」に決まっているわけでそこまで
どのように話を展開していくかを楽しみにしていたのですが非常に間延びした作りで見ているう
ちにいらいらしてきました。
 しかし浅野ゆう子も高校生の母親という年齢になってしまったのか…。
(梅田ガーデンシネマ)


幸福な食卓(2006 日/松竹)
監督:小松隆志

 家族で食卓を囲みさらにはその場でいろいろな話をする。いいことも悪いことも。一人暮らし
歴10年以上の私にはうらやましいことではありますが実際にそうだった20年以上前には結構
鬱陶しかった覚えもあります。特に悪い話の時には。
 そんな中一緒に同じ高校を目指そうなんて異性の友人と支えあったりと非常に自分のそんな
時代を思い出すピュアな作品でした。ただラスト間近のミスチルの曲フルコーラスは必要なの
でしょうか。
(梅田ピカデリー)


不都合な真実(2006 米/UIP)
監督:デイビス・グッゲンハイム

 以前から地球温暖化問題に取り組んでいた元アメリカ合衆国副大統領アル・ゴア。映画の内
容は彼が取り組んでいるスライド講演と生い立ちで成り立っており非常に内容も難しいのです
が顔を背けてはいけないことです。
 京都議定書に調印していないブッシュ政権ですがゴアが大統領になっていればどうなってい
たのか、それが一番知りたいです。
(ナビオTOHOプレックス)


それでもボクはやっていない(2006 日/東宝)
監督:周防正行

 声を上げる女性が多くなると同時に増えていく痴漢冤罪事件。「疑わしきは罰せず」はずの裁
判なのに証拠もなく犯罪者が仕立てられる。
 していない証拠を証明することの難しさと現在の刑事裁判制度の問題点を鋭く突いていきま
すが観客にとっては予想外の結末を迎えます。
(ナビオTOHOプレックス)


海でのはなし(2006 日/リトルモア)
監督:大谷エリー

 スピッツの音楽から生まれた物語、ということでスピッツの好きな私は期待していた作品です
が音楽のボリュームが大きすぎて会話が聞き取りにくいなどもう少し作り方を考えた方が、とい
うような感じでした。
 ヒロイン楓が20歳くらいになって初めて自分が愛人の子だと知った、など少々無理のある話
がありそれを強引に展開するのが少々気になります。
(梅田ガーデンシネマ)


きみにしか聞こえない(2007 日/ザナドゥー)
監督:荻島達也

 おもちゃの携帯電話を拾ったことから始まるファンタジーです。1時間の時差がある、という設
定は後半に大きく効いてきますしそれ以外にも無駄のない脚本であっという間にひきずりこま
れます。
 内気な少女がだんだん明るくなっていく様子を演じる成海璃子もすばらしいですが私は小出
恵介の熱演ぶりに惹かれました。
(梅田ブルク7)


しゃべれども しゃべれども(2007 日/アスミック・エース)
監督:平山秀幸

 キャスト一人一人の個性がはっきりとはまった作品でした。伊東四朗のような師匠も八千草
薫のような祖母も松重豊のような男も本当にいそうでそんな下町の日常風景をあますことなく
伝えてくれます。
 子役の森永悠希が演じる「まんじゅうこわい」はあの世の桂枝雀師匠が一番喜んでいるので
はないかと思うくらいの出来でした。
(梅田ガーデンシネマ)


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